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コマースロボティクス 伊藤 彰弘|最小のリソースで最大の付加価値を生み出せる企業を増やす

創業手帳

各企業にあったビジネスプラットフォームの導入で売上と効率性を最大化する


どの業界においても業務の「デジタル化」は急務であり、対応している企業とそうでない企業では、業務の効率性や売り上げ規模の差が開き続けています。しかし、資本や人材が豊富にある大企業はデジタル化を推進できますが、多くの中小企業では、まだまだデジタル化の波に乗り遅れているのが実態です。

このような時流の中で、商取引全プロセスにデジタル化されたプラットフォーム「SALESGRAM」、Eコマース業界初のロボット型SCMシステム「コマースロボ」、EC物流専用クラウドWMS「Air Logi」を提供し、様々な業界のデジタル化推進のサポートをしているのが、コマースロボティクスの伊藤さんです。

そこで今回は、コマースロボティクスを創業する背景や、事業を拡大するまでの工夫について、創業手帳の大久保が聞きました。

伊藤 彰弘(いとう あきひろ)
株式会社コマースロボティクス 代表取締役
横浜国立大学工学部を卒業後、トヨタ自動車に入社。その後、商社やシンクタンクを経て、2013年に株式会社ECロボ(現、株式会社コマースロボティクス)を創業。EコマースやEC物流を中心に、複数のITサービスを開発し、各業界の効率化やデジタル化を推進に貢献している。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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トヨタ自動車や大手商社を経て「コマースロボティクス」を創業

大久保:これまでのご経歴を教えてください

伊藤:まず大学では、工学部で機械・材料関係を専攻していました。

大学卒業後は、トヨタ自動車にエンジニアとして就職しました。

そこでは主に、材料の研究や生産設備の開発を担当していました。

10年ほど勤めた後、起業を視野に入れ始め、ビジネスの勉強をするために、商社に転職し、航空機や宇宙関連のものを取り扱う部署に所属しました。

そこから新規事業開発の部門に異動し、環境問題・インターネットビジネスと出会い、のちのEコマースにつながります。

大久保:1社目と2社目の会社では、それぞれどのようなスキルが身につき、その後の起業までの道のりで役に立ったと思いますか?

伊藤1社目のトヨタ自動車では「問題を解決する」というスキルが身についたと思っています。これは、どの領域でも使えると考えており、理想と現実のギャップを数値化して、どのように分析・解決に導くかということに繋げることができます。

2社目の商社では、見積書や契約書の作成や、受注から請求までの流れなど、商売の基本を学ぶことができました。

大久保:起業のきっかけは何でしょうか?

伊藤:商社に転職したタイミングで、かなり具体的に起業を意識するようになりました。

商社での新規事業開発で上司に当たる方が、シアトル支店長で大手メーカーとの取引を開拓し、商社マンでありながらも、起業家精神のある方でした。

その方は、日本ではあり得ないような、意思決定の速さにカルチャーショックを受けたことを覚えています。私は、典型的な日系企業出身だったため、こういった生き方もあるのかな、と思ったことが起業を具体的に意識したきっかけです。

Eコマースから派生してプラットフォーム領域に展開

大久保:現在、コマースロボティクスでやられているEコマース事業は、サラリーマン時代の分野とは全く違うように思えます。その点はいかがでしょうか?

伊藤:元々、商社時代にインターネットをかじっていたのですが、Eコマースに関しては、起業後、縁があって仕事をするようになったという経緯になります。

大久保:Eコマースの中では、どのような事業を行っているのでしょうか?

伊藤:徐々に大きな分野に挑戦して行っている流れになります。

一番最初は、Eコマースの物流領域のDX化で、非常に狭いマーケットでビジネスをしていました。そこから、物流だけでなく、Eコマース全般のDX化へと市場を広げていて、さらに海外へと視野を広げて来ました。

最終的に、企業間取引の電子化・プラットフォーム型のビジネスモデルを目指しています。

この「企業間取引の電子化」については、アナログな部分を、Eコマースの仕組みに近づけられるような製品企画開発をしており、海外でも使えるようなものを作り続けています。

いきなり大きな市場を狙うと、実力が伴っていなかったりするため、徐々に広げています。

小さく始めて近い領域に展開するのがコマースロボティクスの戦略

大久保:コマースロボティクスでは様々なサービスを展開されていると思いますが、具体的にどのような事業がありますか?

伊藤:一番始めにローンチしたサービスは「EC物流専用クラウドWMS(※1)の『Air Logi』」と言いまして、EC物流をクラウドでDX化するようなソリューションです。現状、約1200社ほどに、ご利用していただいています。

他にも、Eコマース業界初のロボット型SCM(※2)システム「コマースロボ」は、約720社ほどのユーザーがいます。

さらに、海外のECを支援するサービス「Air Trade」は、海外の企業100社以上に、ご利用していただいています。

大久保:サービスに連続性があるように思えましたが、どのような狙いで拡大先の領域を決めていたのでしょうか?

伊藤ローンチした小さい市場のシェアを取りながら、そこに近い領域ということを意識しつつ、別の大きな領域を取っていく流れにしています。

大久保:そのように事業展開を成功させるために必要なものは何でしょうか?

伊藤やりたいことに対する「思い」が強くないと挫折してしまいます。

お金もないのに、事業を続けたい、という状況は本当に辛いですが、それでも形になるまでやり続けるには、根底に確固たる思いが必要ですよね。

※1:WMS(ウエハースマネジメントシステム)・・・倉庫管理システム

※2:SCM(サプライチェーンマネジメント)・・・製品やサービスの供給網を効率的に管理する手法

創業期に開発費を全くかけずにサービスを作った秘訣

大久保:これまでの起業経験で大変だったこと、それをどう乗り越えたかについてのお話も伺えますか?

伊藤:会社存続のために、お金を作ることが大変でした。

大久保:ストックビジネスは、一定ラインを超えるまでが大変ですよね。

伊藤:今だと資金調達は様々なところでできますが、創業当時の場合は、自社資金もなく、調達する目星もありませんでした。

そのため、サービスのプロトタイプを作る時には、お客様に営業を先にして「こういうものを作りませんか?」という形で進めていました。そのため、コマースロボティクスの創業時には開発費はかかっていません。

その分スピード感は遅くなってしまいましたが、お客様のニーズは外さないため、間違いありませんでした。

名刺交換から請求までをコネクトするBtoB向けのプラットフォーム構想

大久保:現在は、BtoBのプラットフォームの構築に注力されていると伺ったのですが、どのようなイメージでしょうか?

伊藤:一番中心になるのは商取引全プロセスにデジタル化されたプラットフォーム「SALESGRAM」です。

通常のビジネスフローだと、名刺を交換して、見積書を提出し、注文書、注文請書、納品書、請求書など、紙のやり取りが必要だと思います。

それをデジタル上で、SNSのようにコネクトさせて、そのサービス上で全ての取引が完結するようなイメージです。

電子ファクタリング、債権保証等の電子決済と連携させることで、アナログ的な役務やサービスの取引を電子的ECに変換することができます。

大久保:ビジネスフローの全てが1つで完結して、さらに個別の業務の効率化できるイメージですね。

伊藤:おっしゃる通りです。

見積もりのやり取りで、メッセージをつけることもできます。

その前にRFQ(※3)で業者選定をすることもでき、注文書・契約書もすぐ発行できます。

納品すれば、その情報が請求書に繋がって、納品書が出せるようになっています。

このように、全てがトラッキングされるようになっており、間にワークフローも挟まれているため、可視化されます。

その上に、BtoBのカートやマーケットプレイス、電子取引ツールがついて、全てが繋がる大規模なビジネスプラットフォームを作っています。

これはまず、インドでスタートさせるつもりで考えています。

※3:RFQ(Request for Quotation)・・・見積依頼書や見積要求書

今ある業務の効率化を目指す従来のSaaSとは違う「攻めのサービス設計」

大久保:インドからスタートですか。海外にも拠点があるのでしょうか?

伊藤インドに10名以上、エンジニアがいます。また、今年はインド工科大学のインターン生3名を採用しています。

韓国には、日本人1名と韓国人2名がいます。エンジニア1名とマーケティング2名です。

大久保:海外の人材はどのタイミングで入れられたのでしょうか?

伊藤:起業後、2年ほど経つ頃にはインド人、中国人の方に入っていただいてました。

グローバル起業を目指していたため、最初から日本人だけでやろうとは思ってませんでした。

大久保:これまでのバックヤード関連のツール・サービスは、今ある業務を効率化して、無駄に発生している作業とコストを下げるものが中心だったと思います。

伊藤さんが開発されているサービスは、そこを飛び越えて、売り上げを取りに行くような動きですね。

伊藤:お客様の課題は、取引先を新たに見つけたいというところだと思いますので、そこを叶えられるようなサービス設計にしています。

あとは無駄を省くために、紙をなくすことを狙いとしています。

取引に関わる紙をなくすためには、SNSのように専用のものを作っていかなければなりません。

販路拡大を目指す「中堅企業」こそデジタルツールを活用すべき

大久保:どういう企業がターゲットなのでしょうか?

伊藤BtoBでビジネスをやられている企業全てにおすすめしたいです。

見積もりの情報が繋がって、その後の発注書・請求書等に紐づくような仕組みになっているから、大変便利です。

ただし、大手企業はすでに電子化が進んでいるため、販路を拡大したい中堅企業、さらに日本だけでなく海外の企業に対してもツールを届けていきたいです。

これまで海外にもサービスを広げて来た経験から、英語・中国語・韓国語の対応も可能なため、実績とインフラは整っています。

大久保:日本企業がグローバル展開をするには、メガテック企業を意識すべきなのでしょうか?

伊藤:そんなことはありません。我々もメガテック企業と戦おうと思っていません。大手企業が手を出さない、環境の変化があるところを狙っています。

企業間取引をデジタル化する流れはあるので、プラットフォーム型で企業間がデジタル上で繋がっていく仕組みを使って、まずはASEAN等に広げていきたいと考えています。

大久保:日本の会社がグローバル進出する時にも、大変助かりそうですね。

伊藤:おっしゃる通り、多言語で使えるものを作っています。

大久保:日本企業がグローバル展開をする上でのコツを教えてください。

伊藤グローバルで提供することを前提に考えるならば、最初から英語版で作ることをおすすめします。その後に、日本語版を作る流れです。

大久保:土台から英語版で作るということですね。

スタートアップ経営で重視すべき数字の考え方

鈴木:会社の経営において、何の数字を一番重視しますか?

伊藤:0から1を生み出すスタートアップ、そして1から100を目指す企業という流れになりますが、私の会社はまだ0から5くらいまでしか叶えられていません。

基本的にSaaSの世界では、ユニットエコノミクスといって、1件の獲得に対する利益と経費を比較して、継続できるようにプラスにしていくという考え方があります。

スタートアップバブル期では、その考え方を無視して、とにかく売り上げを伸ばす成長重視でした。

そこから景気が悪くなり、今はユニットエコノミクスを健全化させて、プラスにしていく動きが必要なのかなと思います。

このようなバブルは、数年に一回は起きるものだと思います。

ですが、EPSという1株当たりの純利益が大事だと思いますので、正しい流れに戻りましたね。

大久保:伊藤さんのお話を聞くと、視点やスケールの大きさが他の方と違うように思えます。

伊藤:私が自動車メーカーに勤務している20代の頃に、アメリカ人の指導で渡米していました。

その頃は、日本が成長期で世界に進出していましたが、今は逆転して、国内で仕事をしようとしている傾向にあると思います。

私は、当時の海外進出するイメージをいまだに持っているため、そのような視点になるのかもしれません。

大久保:読者に向けてのメッセージをお願いします。

伊藤:リスク少なく、ゆっくり着実に成長できるように考えたら良いと思います。

急成長も良いのですが、ギャップが生まれて、身の丈に合っていないことも起きることもあります。理想は大きく持ちながらも、コツコツやっていきましょう。

私も、10年くらい事業をやっていますが、設計図はもっていて、完成系の部品を作っているイメージです。

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(取材協力: )
  (編集: 創業手帳編集部)



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